当院が開院した令和6年2月から早くも9か月が経過しました。
これまで尼崎市内にご在住の方々を中心に多くの患者様にご来院頂いております。
当院が患者様のメンタルヘルス不調からの回復に少しでもお役に立てていれば幸いです。
さて当院は診療所の特性上、医療機関としての役割を担っております。そこでは当職は医師として患者様とお会いし、診療行為を行います。
当院は精神科を中心とした診療を行いますので、精神療法と薬物療法、そして環境調整を意識しながら診療を実施させていただいております。
ところで精神療法の概念については、何を以て精神療法と述べるのかを考えるとなかなか難しいところですが、対話を通じて自らの悩みにまつわる課題を意識の世界に浮かび上がらせて、その解決方法を治療者である医師とともに探し求める営みであると当職は考えております。
精神療法については他の診療科にはない、対話自体が治療手段となる精神科特有の治療法です。
皆様がイメージされることの多い公認心理師(臨床心理士)が行う心理療法(カウンセリング)と重複すると考えても差し支えないでしょう。
さらに広く捉えると、対話自体がその道具、手段でありますから、信頼できる人物であれば、特に有資格者ではなくても家族、友人、パートナー等の関係でも精神療法(心理療法)は十分に成り立つものであると考えます。
だからといって簡単なものではなく、精神療法は多くの偉大な先人が積み重ねてきた叡智を借りて臨むことも多いため、誰でもできるようでありながら、高い専門性が求められる奥の深い分野であるといえます。
それでは当職が精神療法について十分な研修を経てきたのかと問われると、師を探し求め、研鑽を積んだ経験はあるものの、おぼつかない点があることは否定しません。
その分、臨床経験と当職のささやかな人生経験をも活用しながら、患者様の心性理解に努め、病からの回復に向けて患者様と共に歩む姿勢を持ち続けられるよう、当職が日々精進を重ねていくことが重要な心構えであると認識しております。
他方で、診療所での診察が保険診療を中心とする制度上の問題や、多くの患者様と診療を行う責務を有する事情等により、お一人お一人の患者様にご提供できる時間が限られてしまうのも事実です。初診患者様であれば30分程度、再診(2回目以降)の患者様であれば10分程度が限度となることが多くならざるを得ない点を、何卒ご了承くださいませ。
心理士による心理カウンセリングではお一人あたり50分程度のお時間が提供されることが多いと思います。その点と比べると見劣りするかもしれませんが、医師として患者様の解決志向をお支えする役割があることは十分に自覚しております。診療回数が重なることがあるかもしれませんが、患者様のお困りとなっている、解決したい「何か」の探求は患者様の意欲を尊重しながらお支えしてまいります。
以上簡潔ではありますが、当職が考える精神療法について本ブログで述べさせていただきました。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
次回のブログでは、精神科医療では精神療法とともに大切な医療行為である薬物療法についてご案内します。